Mami Miyake - Pianist

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【アート覚書き】迎賓館公開とモネ

2018年9月2日 by admin

迎賓館公開とモネ
Public Opening of the State Guest House, Akasaka Palace and Monet’s Legacy

短い夏休みも終わり、早いものでもう9月ですね。
暑い最中に出掛けた、一ヶ月限定の迎賓館赤坂離宮 藤田嗣治天井画特別展示と横浜美術館のモネ〜それからの100年〜展の記憶を辿って…

迎賓館は今から110年ほど前に、大正天皇の東宮御所として建てられた、日本で唯一のネオバロック様式の宮殿で、御所として使用されたことは少なく、国会図書館や政府の行政機関としても使われていたが、その後5年間の改修工事を行い、1974年から外国の賓客のための迎賓館として使用されるようになったそうだ。

この日は特別に夜間のライトアップがあったので、18時に予約を入れておいたのだが、予約確認などは何もなく(荷物検査はありました)並びもせず、すんなりと中に入った。
まず主庭をご覧くださいと、国宝の大きな噴水のある庭に導かれる。夕刻時なので空も美しい色。噴水の側は若干涼風が感じられるが、真夏の都心はこの時間でも汗が吹き出るほど暑い。建物の中は撮影できないからと何枚か写真を撮ったけれど、暑さに耐え切れず宮殿内に入ることにする。

涼しい館内は、一歩踏み入れるだけでその迎賓館としての品位と、装飾や調度品の高級感と、その中で日本的な仕掛けをうまく組み込んだ知恵が施されており、それはそれは絢爛豪華、非常にきらびやかで、お目当てのフジタの天井画がすっかり霞むほどだった。花鳥の間、羽衣の間、彩鸞の間とそれぞれ趣の違った広間があり、各間にボランティアガイドさんがいらっしゃって、気軽に質問に答えて下さる。家具やシャンデリアなどは建設当時からのものだそうで、明治時代に日本でデザインしたものをフランスに発注し、取り寄せたことを考えると感慨深く、その場を足早に去ることはできなかった。ゴブラン織りと見せかけて実は京都西陣織りだったり、壁面に七宝焼が埋め込まれていたり、壁の装飾に西洋の楽器に混じって鼓や琵琶があったり、さりげなく鎧兜が描かれていたり、シャンデリアに金色の鈴が連なって付けられていたり、日本人としての誇り、持て成しなどさまざまな思いが結集された建造物。今回観覧しなかったけれど、「遊人亭」という和風別館が敷地内にあるそうだ。

横浜美術館のモネ展は、クロード・モネとモネに影響を受けた画家の作品が交互に展示されている珍しい企画。主に国内から集められたモネ作品はどれも素晴らしく、特に眩い光を白で表現したジヴェルニー近くの草原の絵や、やはり夕暮れの光の当たり方、空気感を表現した、三重県立美術館所蔵の作品、そして冬のテムズ河の夕暮れを描いた作品に惹かれ、何度も観ては立ち止まった。睡蓮作品も6点ほどあり、モネと言えば睡蓮かもしれないけれど、光を描いた画家なので睡蓮のほうが勝るとは思わない。観る側がその時にが欲しているものに共鳴し、呼応するのだと思っている。個人蔵で日本初公開の、晩年のモネ作品も一点あり、その色鮮やかさにも目を奪われた。他の画家では、写真や映像などさまざまな作品が展示されていたが、ロスコが二点あったのは嬉しかった。

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〔facebookパーソナルページより転載〕

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【アート覚書き】「ターナー 風景の詩」展

2018年6月20日 by admin

昨日、梅雨の晴れ間に、東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館の「ターナー 風景の詩」展へ。
Turner and the Poetics of Landscape @Seiji Togo Memorial Sompo Japan Nipponkoa Museum of Art

ベートーヴェンと同じ時代に生き、ロマン主義、印象主義を先取りした画家ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー。
数年前の都美館での展示に行けなかったのがずっと心残りだったので、楽しみに出掛けた。

どの絵もまず、風通しのよい、心地良い空間が広がる。そして誰よりも光を求めているのがわかる。
空も、青よりも白を多く用い、 夕景の薄い紅色と、大地や木々の土色がグラデーションを成す。
太陽、空、海、川、山、岩、波、風 など自然に対する畏敬の念と、城や遺跡などの建築物への愛着と。
ダイナミックな風景の中に、人々の暮らしを非常に控えめに、かつ愛情を持って描き込んでいる。そのスタイルにふと、明治の日本画家、川合玉堂を思い出した。

多くの作品が、フランス、スイス、イタリア等に旅行に出かけてスケッチをし、恐るべき記憶力をもとに、アトリエに戻ってから制作されたそうだが、イングランド人だからこその南国の光への憧れと、緻密な筆使いが、ロマン的な色合いや空間を作り出しているように感じられた。

10代のころから才覚を表し、母親が精神病を患っていて、自身も情緒不安定だったそうだが、数多く展示されていた白黒のエッチング作品は、その性格からかどれも当時にしては異常なほど細かく描かれており、色彩があるものに比べて、より光が鮮烈に伝わってきた。

今回の展示は長編詩の挿絵など、比較的コンパクトなサイズの作品が多かったので、イギリスに行って、もっと大きな作品を存分に観てみたいと思った。

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【アート覚書き】「チャペック兄弟と子供の世界」展

2018年5月29日 by admin

先週、仕事帰りに渋谷・松濤美術館の「チャペック兄弟と子供の世界」展へ。
Children’s Themes in the Works of the Capek Brothers@Shoto Museum of Art, Shibuya

カレル・チャペックとヨゼフ・チャペックの兄弟は20世紀初頭のチェコのマルチアーティスト。兄ヨゼフが主に絵を、弟カレルが文章を担当し、兄弟揃って同じ新聞社の編集部に勤め、ヒトラーやナチズムを記事や風刺画で批判しながらも、子供向けの日曜版紙面を担当して挿絵付きエッセイを掲載したり、子供のための絵本を数多く手掛けたことで知られている。

ヨゼフの絵はキュビズムやプリミティブ・アートの影響を受けて、単純な線と構図で描かれていながら、非常に温かみがあって、特に油彩画よりもドローイングでその芸術的センスが良く感じられる。鉛筆の線の太さ、濃淡、筆圧が手に取るようにわかり、見応えがある。髪の毛などは5、6本の線しか描かれていないのだが、その向きや角度によって愛くるしいキャラクターを生み出していく。
おとぎ話の挿絵も多く描き、挿絵にも芸術的な価値を与え、子供のうちから芸術に触れる必要性を示した。

「子供の世界は私たちの世界そのもの。でもそれは私たちの世界よりも充実していて美しく、驚きにあふれている」というチャペック兄弟の優しい眼差しから創られた豊かな世界を体感し、美術館を出るときには自然と笑顔になっている自分に気づいた。

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【アート覚書き】アール・デコ リヴァイヴァル!

2018年4月18日 by admin

昨日、都内での仕事前に、緑に囲まれたお気に入りの美術館に立ち寄りました。

アール・デコ リヴァイヴァル!
旧朝香宮邸物語&フランス絵本の世界
ART DECO REVIVAL@東京都庭園美術館 Tokyo Metropolitan Teien Art Museum

旧朝香宮邸は、フランス遊学中の朝香宮が交通事故に遭い、療養のために長く滞在した間に訪れたアール・デコ博覧会に触発されて、ルネ・ラリックやアンリ・ラパンに内装、設計を依頼して昭和6年に建てられた邸宅。のちに首相公邸や迎賓館にも使用された歴史的な建物で、1年に一度の建物公開では、一階と二階、ウインターガーデンと呼ばれる三階の温室も訪れることができる。
照明や家具、ドアの取っ手や暖炉の囲いにいたるまでアール・デコ様式をふんだんに取り入れた作りになっており、あちらこちらで立ち止まりながら、贅沢な気持ちでのんびり歩くことができる。(撮影OKの展示だったので、写真をご覧ください)

そして奥にある新館では、鹿島コレクションによるフランス絵本の展示。モノクロから彩色の印刷に変化し、アール・デコやロシア・アヴァンギャルドに通じるデザイン性に溢れた絵本まで、眺めているだけで楽しい。お決まりのジャンヌダルク、ラ・フォンテーヌの寓話に、フランス民謡や子供の作法を示すもの、ドビュッシーが曲を付けたアンドレ・エレの『おもちゃ箱』もある。中でも、ウクライナで生まれモスクワでロトチェンコらに師事したナタリー・パランの芸術的な作品に惹かれ、思わずミュージアムショップで復刻版を買ってしまいました!

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〔facebookパーソナルページより転載〕

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【コンサート覚書き】ピョートル・アンデルシェフスキ

2018年3月21日 by admin

ピョートル・アンデルシェフスキ
Piotr Anderszewski Piano Recital@Sumida Triphony Hall&Yamaha Hall

ブリュノ・モンサンジョンのドキュメンタリー映像を観て以来、ずっと気になっていたアンデルシェフスキの演奏をようやく生で聴いた。しかも2日連続。
初日のすみだトリフォニーホールではオールバッハ・プログラムで、平均律第2巻よりハ長調、変イ長調、嬰二短調とイギリス組曲第3番、第6番。

まず音が美しい。
脱力した上半身と確実な打鍵から生み出される音楽は即興性に富み、臨場感というのだろうか、今この瞬間の尊さを感じさせてくれる。
それぞれの声部に濃淡が付いて、弾き分けが徹底している。調性が変わる度、様々に音色が変化していき、フーガでは対旋律を際立たせた時の主旋律の儚げな響きが、そして組曲では生きた拍感が舞曲特有のリズムの愉しみを聴く側に与えてくれる。

目の前の音楽に純粋に、ひた向きに身を捧げるアンデルシェフスキ。光と陰、歓びと哀しみ、恐れと救い、叫びと嘆き、諦めと希望、迷いと悟り….バッハには全てが内在することを実感させてくれる。所々に入るトリルやヴァリアンテの品の良さといい、曲間の運び方や呼吸に表れる様式美といい、私にしてはめずらしく(笑)久しぶりにあれこれ考えず、紡ぎ出される音律に身を委ねて聴くことが出来た。

アンコールにベートーヴェン バガテルop. 126-1、ショパン マズルカop. 59-1、ヤナーチェク 草陰の小径第2集。

翌日のヤマハホールでは、当初予定していたプログラムが一部変更になり、結局モーツァルトの幻想曲ハ短調とソナタハ短調以外は前日に聴いた曲になった。
前日とは違い、強音の響きを扱うのが難しい空間で、イギリス組曲は対比よりも弱音の中での表現を試みていて、ヤナーチェク 草陰の小径第2集やアンコールのショパン マズルカハ短調の語り口は、前日の演奏よりもさらに奥深く、立体的なものになっていた。

自分と同世代なだけに、今後もますます目が離せないピアニストだ。

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〔facebookパーソナルページより転載〕

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【コンサート覚書き】ムン・ジヨン ピアノリサイタル

2018年3月16日 by admin

ムン・ジヨン ピアノリサイタル@紀尾井ホール
Mun Jiyeong Piano Recital @ Kioi Hall Tokyo

最近の、若手韓国人の国際コンクールでの活躍はめざましく、海外に留学せずに国内の先生のみに師事して優勝してしまう人が後を絶たない。
今日聴いたムン・ジヨンもそのひとりで、18歳で高松とジュネーブ、19歳でブゾーニ国際コンクールを制したというのと、オール・シューマンという魅力的なプログラムに惹かれて足を運んだ。

かなり大柄な人で、蓋の開いたピアノと同じくらいの背丈があり、腕も付け根から肘までがしっかりと太いし、さぞかし良い音が鳴るのではと期待したが、まず初めのアラベスクから音色変化の乏しさに首をかしげる。
フレーズが非常に長く、レガートが持続して静寂を大事にする演奏は好感が持てる。だが、静かな部分は拍感がなくなってのっぺりしてしまうので、どうしても単調に聞こえてしまう。
次の幻想曲の出だしは身体の動きと音が見合わないのがもどかしく、この情熱的な第1楽章がそうは伝わって来ないのが歯がゆい。第2楽章になると、その律動は安定した技術に支えられてようやく息をし始めた感があり、難所もノーミスで楽々と弾き切るし、シフトペダルを使用した部分はハッとする音色でリズミックな音律がとても生き生きと聞こえてきた。

後半、花の曲に続いて演奏されたソナタ第1番 嬰へ短調がさまざまなコンクールで弾いてきただけあって、自在な表現力を伴っており、一番集中して聴いた。
特に感心したのが第3楽章の最初のトリオで、しなやかな歌い方と即興的なフレーズ感がシューマンらしい楽想を見事に作っていた。
コンクールで勝ち抜くには選曲もとても大切で、スタッカートや連打の機敏さとモノトーンな音色、そして徹底的に教え込まれたのであろうポリフォニーを弾き分ける技術を持つ彼女に、このソナタは非常に合っている、と納得させられた。
まだ22歳と若いので、是非海外に出て様々な景色や空気、そして言語に触れて、沢山の経験をして欲しいと願うばかりだ。

アンコールはシューマン=リストの献呈とトロイメライ。

 

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〔facebookパーソナルページより転載〕

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【コンサート覚書き】アレクサンドル・クニャーゼフ バッハ 無伴奏チェロ組曲 全曲演奏会

2018年2月7日 by admin

Alexander Kniazev
J. S. Bach Complete Suites for Cello solo@Suntry Hall Blue Rose

渾身の演奏だった。

どれも確信に満ちた、落ち着きのあるテンポ感で始まり、ト長調のオープンな調性から苦悩のニ短調へ、そして幅広なハ長調へと調性感を巧みに弾き分ける。オルガニストとしても演奏活動するだけあって、重音の響きの安定感が際立っている。(特に第3番プレリュードのオルゲルプンクトの持続感が素晴らしかった!)

第3番まで弾いて休憩15分、そして第4番と第5番のあと再び休憩15分、18時に開始して終わったのはアンコール含めて22時近く。

かなり遅めのテンポ設定なのと、圧の強い弓使いのために、サラバンドなど遅い舞曲では引き延ばされる緊張感に聴いている方は正直疲れてしまう面もあるが、モノトーンな音色がピタリとはまった第5番のサラバンドなどは素晴らしかったし、ひとつの舞曲を取っても、出だしはさりげなくリズムやメロディーを扱い、繰り返しをしながら活気を増して最後に向けて高揚していくストーリー性のある構成は非常に説得力があり、振り返ってみると6曲全曲の流れの上でも、第5第6番に向けて焦点を定め、終盤のガヴォットからジーグにかけては曲集全体のクライマックスを見事に作り上げていた。こんなに集中してこの曲集を聴いたのは初めてかもしれない。

改修後のサントリーホールブルーローズは舞台をぐるっと囲むように座席が置かれていて、ちょうど弾く姿を真右から眺める場所だったので、弓さばきをいつも以上に興味深く観察しながら聴いた。弾いている時弓から、松ヤニの粉が音楽に合わせて空中にフワッと飛び散るのを初めて見た。

そして休憩2回とも男子トイレに長い列が出来ているのを見て、普段の演奏会との客層の違いをまざまざと感じるのだった…。

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〔facebookパーソナルページより転載〕

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【アート覚書き】アルベルト・ジャコメッティ展

2017年8月27日 by admin

先週、用事の合間にようやく、20世紀最大の彫刻家 アルベルト・ジャコメッティ展へ出掛けた。
Exhibition of Alberto Giacometti @The National Art Center Tokyo

普通、美術館にあるジャコメッティはせいぜい一体、多くて二体だと思うけれど、大小さまざま、これだけ多くの作品が時代を追って展示されているのに驚く。順に観ていくと、なぜこのような表現に行き着くのかが非常に良くわかるようになっている。
ミュシャの時と同じように、ひと部屋だけ写真撮影可能になっているのを知り、慌ててロッカーに携帯電話を取りに行く。

スタンパ というイタリア国境にあるスイスの小さな村で生まれ、父親が画家で、幼少期からアトリエにいるのが当たり前の生活をし、父の影響で「見たままを捉える」セザンヌに憧れ、イタリア絵画、古代エジプト・中世の美術にのめり込む。
アフリカ、オセアニア、キクラデスの彫刻に興味を持ち、頭蓋骨のデッサンに励んだりもする。キュビズムやシュルレアリスムを体現したあとに放棄して、モデルを前にした制作へ行き着くが、その独特な距離感から等身大では制作できず、マッチ箱に入るほどまで小さな作品になる。
哲学者サルトルや日本人哲学者の矢内原伊作との交流など、その足跡を知ってから作品を観ると、なるほどと頷ける。

印象的な本人の言葉を以下備忘録として。

“見えるものを見える通りに捉える 到底不可能なのを知っているが自分にできる唯一のこと”

“私とモデルの間にある距離はたえず増大する傾向を持っている”
“もの に近づけば近づくほど、もの が遠ざかる”

“モデルを前に、生者を死者から隔てるまなざしをとらえることに執着した”

“ひとつの彫刻はひとつのオブジェではない
それはひとつの問いかけであり、質問であり、答えである
それは完成されることもあり得ず、完全でもあり得ない”

“絵も彫刻も詩も文学もたいしたものではない
試みること、それがすべてだ”

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【アート覚書き】アンジェイ・ワイダ「残像」

2017年6月29日 by admin

一昨日なんとか時間を作り、岩波ホールへ。
巨匠アンジェイ・ワイダの遺作「残像」を観に行った。
Andrzej Wajda’s last movie “Powidoki (Afterimage)”

昨日までの公開なので滑り込みセーフ。
会場も珍しく7割方埋まっていた。
実在したポーランドの画家ストゥシェミンスキの受けた、社会主義体制からの抑圧を色濃く描き、決して迎合せず己の信ずる芸術を貫く姿勢を通して、一個人が成し得ることの尊さを教えてくれる。
画家の発する一言一言が端的でありながら非常に的を得ていて、色や動き、そして配置にこだわり抜いた映像が、重要なシーンとして印象を残す。
まさにワイダ監督の遺言のような、ゆっくりと噛み締めながら観るべき映画と感じた。

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〔facebookパーソナルページより転載〕

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【コンサート覚書き】ラトヴィア放送合唱団

2017年5月22日 by admin

初夏の陽気の日曜日、ラトヴィア放送合唱団を聴きに出掛けた。
Latvian Radio Choir@Musashino bunka kaikan Ricital Hall

リニューアルされた武蔵野市民文化会館の小ホールで、合唱大国ラトヴィアの精鋭グループを聴く。
前半に現代曲三曲と、後半にラフマニノフの晩祷全曲というヘヴィなプログラム。
指揮はカスパルス・プトニンシュ。

現代曲ではリゲティのルクス・エテルナが作曲家の狙いの鋭さが際立っていた。出だしからオルガンの響きを再現しているかのようだし、ソプラノ・ソロはまるでフルートの高音のように持続される。宇宙空間に放り出されたような、始まりも終わりもない世界。他にトーマス・アデスとジョナサン・ハーヴェイの曲。

ラフマニノフの傑作『晩祷』は全15曲からなり、60分を超すアカペラ合唱曲。
私自身生で聴くのは3回目で、曲の凄さとこのロシア正教のための宗教曲を日本人が歌うことにひたすら驚いた1回目、ロシアの合唱団だったのにラフォルジュルネ特有の環境の悪さが残念だった2回目を経て、今回は天井の高い小ホールという贅沢な空間なのもあって、心から楽しんだ。
この合唱団は良い意味での雑味があり、音楽と言語に共通するリズムに何とも絶妙な響きの膨らみを伴わせるので、ラフマニノフの感動的な和声がより浮き立ってこちらに届く。
そしてやはり、弦楽器を聴いても感じることだけれど、人の声の持つ響きの温かみはピアノでは到底成し得ない、真似のできないもので、その音律に触れると自然に身体が反応する。
古い教会スラヴ語が用いられているこの曲を聴きながら、つい先日観たミュシャのスラヴ叙事詩を思い出し、両芸術家の民族への強い想いを感じると、涙無しには聴けなかった。

アンコールのラトヴィア民謡がまた素晴らしく、楽譜から解放された団員の皆さんの晴れやかな笑顔とともに、心に迫る合唱だった。

帰りに深大寺に立ち寄り、名物の九割そばをいただきました。

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