『音楽の友』4月号に12月8日の演奏会レビュー

昨年12月20日の演奏会「ロマンの花束」第2回のレビューが『音楽の友』3月号に掲載されました。

三宅麻美
ピアノ・リサイタル・シリーズ
第3回浪漫の花束

 東京藝術大学、ベルリン芸術大学と同大学院、イモラ国際アカデミーに学んだ三宅麻美は、ベートーヴェン・ソナタ・ツィクルス、ショスタコーヴィチ・シリーズなどテーマ性の高いシリーズ公演を成功させて存在感を示してきた。今回はシューベルトにフォーカスし、第1部では《楽興の時》全6曲を独奏、第2部では望月哲也を招いて《美しき水車小屋の娘》を協演した。三宅のソロはシューベルトの即興的気分と歌心をよく反映させたもの。「第2番」では和音の響きの美しさを引きだし、「第4番」では全休止のあとの中間部を細心の注意をもって音楽的に開始した。「第6番」の内面性の表出も共感を誘う。《美しき水車小屋の娘》でもピアノは全開だが、音量のある望月とのバランスは良好だ。〈第1曲〉、若者のはずむ心を表すピアノの前奏に乗り、望月が溌剌と歌いだす。水車小屋を見つけてはりきる若者。そのテンションを鎮める〈第4曲〉。叩きつけるようなピアノ前奏に導かれて燃える恋心が表現された〈第5曲〉、若者の一方通行の思いに歌い手とピアノが同情を寄せた〈第10曲〉と、物語は切なく進む。狩人登場以降の若者の焦燥、嫉妬、敗北感、絶望感の道筋も望月と三宅は手に取るように伝えてくれた。望月訳のテキストは平易かつ詩的。
●萩谷由喜子

会場=王子ホール/出演=望月哲也(T)/曲目=シューベルト《楽興の時》D780、《美しき水車小屋の娘》

『音楽の友』2024年4月号より

「三宅 麻美 シューベルト・リサイタル」演奏会トピックス

8月20日、洗足学園音楽大学シルバーマウンテンにて行われました「三宅 麻美 シューベルト・リサイタル」のトピックスが洗足学園音楽大学のウェブページに掲載されました。

三宅 麻美 シューベルト・リサイタル| |洗足学園音楽大学

洗足学園音楽大学は音楽を愛する心を育て、豊かな人間性を養うことを目的とし、音楽全般を幅広く学ぶとともに、それぞれの専門分野を深く掘り下げていきます。

『音楽の友』3月号に12月20日の演奏会レビュー

昨年12月20日の演奏会「ロマンの花束」第2回のレビューが『音楽の友』3月号に掲載されました。

12月20日・王子ホール●辛島安妃子(S)●メンデルスゾーン「7つの性格的小品集」から「第1番」「第7番」、同「無言歌集」から《甘い思い出》《狩の歌》《失われた幸福》《詩人の竪琴》《デュエット》《胸騒ぎ》《民謡》《5月のそよ風》《葬送行進曲》《ヴェネツィアの舟歌》《春の歌》《紡ぎ歌》、同「歌曲《告白》《遠いところに》《新しき恋》《挨拶》《歌の翼に》《ズライカ》《春の歌》《花束》《私は木の下に横たわる》《恋人の手紙》《一晩中夢の中で僕は君を見るんだ》《葦の歌》《夜の歌》《もうひとつの五月の歌(魔女の歌)》」

 東京藝術大学、べルリン芸術大学、イモラ国際ピアノアカデミーで学んだ三宅麻美は、深い解析力と知的なロマンティシズムでの表現力が、国内外で高く評価されている。これまで三宅のさまざまなシリーズに接しているため、メンデルスゾーン『無言歌集』などどうだろう……と秘かに思っていた。それが叶った三宅のリサイタル・シリーズ「浪漫の花束/色とりどりの性格的小品とドイツ・リートの世界」の第2回、テーマは「メンデルスゾーン」。
 前半は三宅のピアノ・ソロ。「小品集」では、開始から丁寧に音を重ねていくため〝美しいメロディの天才メンデルスゾーン〟のラインが活きる(特に「第1番」)。「無言歌集」では完璧な耐震構造の如く和声感や構成に揺るぎがなく、それゆえ主旋律は映え、内声の色合いも美しく響く。何より恐れ入るほど作品は深く練られているため、《詩人の竪琴》や《葬送行進曲》はドラマを見ているようで、《失われた幸福》と《デュエット》では名歌手の声が聴こえるよう。《民謡》ではリズムの扱いが巧く、《5月のそよ風》や《ヴェネツィアの舟歌》など絵画的な色彩感を感じ、〝無言歌〟の真意を聴いた思い。それゆえ惜しむらくは、ステージに上げたときの12曲の推進力。各曲非の打ちどころがない反面、進行に緩急があれば全体がより締まったはず。後半はソプラノの辛島安妃子を迎えたドイツ・リート。辛島も同じく探究者で、詩にある言葉の裏まで読み解く鋭い感性。それも咀嚼を経た表現のため、音楽が立体的で、そこにロマン派の色香(特に《ズライカ》、《私は木の下に横たわる》、《一晩中夢の中で僕は君を見るんだ》)。三宅のアンサンブル力も長けており、気品の華やぎが、まさにロマン派。
●上田弘子

『音楽の友』2022年3月号より

『音楽の友』2020年2月号「音楽評論家・記者が選ぶコンサート ベストテン2020」選出

2017年の「ベートーヴェンピアノソナタ全曲演奏会最終回」に引き続き、2019年12月の「ベートーヴェン・リサイタル」(初期、中期の変奏曲とディアベリ変奏曲)を、『音楽の友』2020年2月号のコンサートベストテン2020に選んでいただきました!