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月別: 5月 2019

【コンサート覚書き】地中海のポリフォニー コルシカの男声声楽アンサンブル「タヴァーニャ」

2019年5月7日 by admin

地中海のポリフォニー コルシカの男声声楽アンサンブル「タヴァーニャ」
La folle journée Tokyo 2019
Cor di memoria Tavagna Corsian chant

一昨日のこどもの日、今年のラ・フォル・ジュルネ音楽祭に一公演だけ聴きに出掛けた。
会場は以前にも何度か足を運んだことのある250席ほどの、響きのデッドなホールB5。

今回の「タヴァーニャ」は9人のアカペラアンサンブルで、時間になって舞台上にゾロゾロと出てきたのが、イタリアの街角に居そうな普通のおじさん(失礼な言い方だが、9人中2人は40代で、あとは60才以上と思われる初老の方々ばかり)なので、え? この人達が? と驚いたのだが、始まった途端にその疑いは打ち消された。

最初の2曲は3人のみで歌い、自分の声をコントロールするためか、片手を耳にあて、もう片方の手は隣のメンバーの肩に掛けたりと、身体や顔を寄せ合って歌う。声は地声に近く、ソロパート1人にあとの2人が合いの手を入れ、和声付けをする。
特に冒頭の“タリウ村のパディエッラ”という曲は、世界文化遺産に登録されたコルシカ島の歌謡だそうで、即興的なこぶしを使った張りのある地声がホールに響き渡り、その哀愁に満ちた歌詞の内容もあって、非常に胸に迫るものだった。

3曲目からは全員で円く弧を描いて立ち、お互いの顔を見合いながら、音を聴き合いながら、時に眼くばせをしたり微笑み合ったりしながら歌う。大まかにはバス担当、テノール担当など分かれているが、高い声で歌うメンバーの中には、かなり低い音域まで出せる人もいるようだった。
これだけ近くで歌い合うのだから、メンバー同士のその日の体調なども手に取るように分かるだろう、などと思いを巡らせる。

伝統的な教会歌と世俗歌に加え、現代の作曲家に依頼したものや、自分たちで創作したものもあり、教会歌以外はすべてコルシカ語(イタリア語の方言のように聞こえた)で歌われる。日常生活における喜怒哀楽のみならず、社会に対する意見や主張も歌にしていく、土着の図太さ、たくましさを感じた。

曲間でメンバーの1人が曲の説明をし(通訳付き)、「我々は先祖、祖父の代から受け継ぎ、それを息子や孫の世代に伝えていくので、そこに新しい風を入れることが重要だ」「こうして皆さんの前で披露して、皆さんのその表情から、我々の音楽が皆さんに浸透し、またそこから我々も再びこの音楽に取り組む活力を頂いている」と話すのを聞いて、まさにそれこそが芸術文化の普遍的な価値だろうと、惜しみない拍手を送った。

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〔facebookパーソナルページより転載〕

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【コンサート覚書き】アレクサンドル・クニャーゼフ&ニコライ・ルガンスキー デュオリサイタル

2019年5月1日 by admin

アレクサンドル・クニャーゼフ&ニコライ・ルガンスキー
デュオリサイタル

Alexander Kniazev & Nikolai Lugansky
Duo Recital @ Kioi Hall, Tokyo

先月下旬、ロシア人同士の演奏家によるロシア・プログラムを楽しみに出かけた。

まず耳に飛び込んでくるのがチェロのふくよかな音。弓に相当な圧力をかけるためか、音の威力がすごい。エンドピンが短く、床板が近いので、地面というか大地との一体感を感じるような音。舞台との距離がかなりある2階席右端にいても十二分に表情が伝わってくる。
対するピアノの音はチェロとは正反対で、容積はあっても密度が薄く、スタインウェイピアノが良くないのか、わざと音の芯を捉えていないのか、やりたいことがこちらに伝わってこない。濃密な音作りやフレージング、場面構築をするクニャーゼフ(ノンヴィブラートのストレートな音作りがショスタコーヴィチの音楽に非常にマッチングしており、はたまたロマンティックな第1楽章第2テーマや第3楽章のテーマの出だしなど、その場面毎に合わせた世界観が、第1音から毅然と現れている)に対し、ルガンスキーは音のみならずその音楽にすら乗り遅れているというか、乗り切れていないというか。こちらも理想像がはっきりとあるだけに、とても歯痒い気持ちで聴いていた。

2曲目、フランクのヴァイオリン・ソナタをチェロで聴くのは初めてだったが、その違和感を覚えたのは始めの方だけで、あとは自然に聴き入った。ただヴァイオリンではフッと力を抜くところなどにもクニャーゼフの全身全霊で弾くスタイルが貫かれるため、聞く側としてはやや疲れてしまう。
ルガンスキーはショスタコーヴィチよりもフランクの方が音質的に合っているようで、第2楽章最後の疾走感やチェロとのバランスは見事で、第4楽章の天から降り注ぐようなテーマは美しかった。

ラフマニノフになると、ますますピアノが主体になってくるだけに、前半で感じていた不足感が助長。昨年バッハ無伴奏の時に感嘆したように、チェロがいかに繰り返しを違ったニュアンスで巧みに聴かせても、再現部の調性感を見事に表現しても、それに応え、支え、包み込み、またこちらからも仕掛けて行くピアノがないと感動もできず、全曲暗譜のクニャーゼフに対して、ピアニストの情熱の温度差、物足りなさを感じざるを得なかった。これがもしリヒテルだったなら….!!

アンコールは3曲。ブラームス歌曲編曲がまた、本当に歌を歌っているような抑揚で素晴らしかった。

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