Super Piano Duo ~ 4 hands for 1 Piano & 2 Pianos ~

2008年12月15日(月)  Super Piano Duo ~ 4 hands for 1 Piano & 2 Pianos ~

ピアノ:三宅麻美 南雲竜太郎

洗足学園・前田ホール

F.シューベルト/幻想曲 ヘ短調 op.103

F.シューベルト/ロンド イ長調 op.107

J.ブラームス/ハンガリー舞曲集 第1集

S.V.ラフマニノフ/組曲 第1番「幻想的絵画」 op.5

P.I.チャイコフスキー(N.エコノム編)/バレエ組曲「くるみ割り人形」 op.71a

NHK FM『名曲リサイタル』出演

2008年11月8日(土)  NHK FM『名曲リサイタル』出演

「巡礼の年」第3年から「エステ荘の噴水」 (リスト)

3つの幻想的な舞曲 ト調 (ショスタコーヴィチ)

5つの前奏曲 (ショスタコーヴィチ)

「24の前奏曲とフーガ」作品87から第24曲 ニ短調 (ショスタコーヴィチ)

ピアノリサイタル  Rhythms of the earth ~ vol.2  天空の仕業 ~

2008年9月3日 三宅麻美  ピアノリサイタル

Rhythms of the earth ~ vol.2  天空の仕業 ~

カワイ表参道 コンサートサロン パウゼ   19時開演

ベートーヴェン ピアノソナタ 第17番 作品31-2 『テンペスト』

リスト    巡礼の年 第3年から 『エステ荘の噴水』

2つの伝説から『水の上を渡るパオラの聖フランチェスコ』

武満 徹  雨の樹素描  雨の樹素描 Ⅱ

ドビュッシー 前奏曲集 第1集から

帆 野を渡る風 音と香りは夕べの大気のなかに漂う

雪の上の足跡 西風のみたもの 亜麻色の髪の乙女

喜びの島

『音楽の友』2008年7月号

●三宅麻美p
生誕100年にあたる2006年に3回にわたるショスタコーヴィチ・シリーズを開催した三宅麻美がその続編として「ショスタコーヴィチと同時代の作曲家」をテーマにシリーズ第4回を開催した。
ショスタコーヴィチのピアノ作品としては若書きの「3つの幻想的な舞曲」、作品番号を持たない「5つの前奏曲」の2曲のほか、ヴィオラの臼木麻弥との共演で「ヴィオラ・ソナタ」が演奏されたが、近年この作
曲家とひたむきに向き合ってきただけあって、今やすっかりショスタコーヴィチの語り口を、みすからの言葉で語れるまでに成長した三宅のピアノが印象的だった。音に重量感が増し、表現の幅も確実に広がってい
たのである。
周辺作囲家としてとりあげられていたカバレフスキー、ミヤスコフスキー、ブリテン作品のうちではミヤスコフスキーの「ピアノ・ソナタ第2番」に思いのほかの聴き応えがあり、三宅の佳演も手伝って楽しめた。
(4月28日・東京オペラシティ・リサイタルホール)〈萩谷由喜子〉

三宅麻美 ショスタコーヴィチ・シリーズ Vol.4 ~ ショスタコーヴィチと同時代の作曲家たち ~

2008年4月28日 三宅 麻美 ショスタコーヴィチ・シリーズ Vol.4

~ ショスタコーヴィチと同時代の作曲家たち ~

ショスタコーヴィチ:3つの幻想的な舞曲 作品5
カバレフスキー:4つの前奏曲 作品5
ショスタコーヴィチ:5つの前奏曲(1920-21)
ミヤスコフスキー:ピアノ・ソナタ 第2番 嬰ヘ短調 作品13
ブリテン:夜想曲
ショスタコーヴィチ:ヴィオラ・ソナタ ハ長調 作品147 ※
※ヴィオラ:臼木麻弥

王子ホール(銀座)

 

『レコード芸術』2008年4月号 ショスタコーヴィチ「24の前奏曲とフーガ(全曲)」批評2件

  

■ショスタコーヴィチ:24の前奏曲とフーガ(全曲)
濱田滋郎●]iro Hamada
推薦 ショスタコーヴィチがバッハのそれに触発され、言うならば〝あやかって〟作曲した《24の前奏曲とフーガ》作品87(1950~51年) は内容豊富な力作であるが、規模の大きさ(当録音はCD3枚にわたっている) があるいは禍いしてか、全曲演奏に出会える機会は少ない。レコード録音にしても、作曲家との直接の縁から定評のあるニコラーエワのそれ以外では、アシュケナージ、思いがけぬキース・ジャレットがあったぐらいではなかろうか(ショスタコーヴィチ自作自演は数曲にとどまる)。
当ディスクの演奏者、三宅麻美は東京芸大卒業後、ベルリン芸術大学をも最高点で了え、ヨーロッパでの演奏活動や国際コンクール高位入賞も多い、実力豊かなピアニスト。2006年、彼女はショスタコーヴィチの生誕100年を記念する演奏会で、つごう3夜にわたり、この全曲を弾いた。この快挙が、2007年録音の当盤につながったわけである。当然、曲目解説をも自ら担当しているほか、「ショスタコーヴィチ年譜」までブックレット内に添えている三宅麻美の、作品に対する理解、洞察は周到なものである。全体から言えば端麗な、余分な粉飾のない演奏であるが、曲それぞれの性格をよく把えて、程よい表情づけないし感情移入を行う。それはしばしば、十分に聴きてを惹きつけ、心を委ねさせる域に達している。日本人による初めての全曲録音であると同時に、立派な自己主張、主体性にも欠けていない、国際的な評価に値するディスクでもある。言葉を替えるなら、ともすれば取りつきにくそうなこの大作のうちに、思いのほか親しみやすく、時にはしみじみと心を打つ楽想も少なからず含まれていることを、有効に告げてくれるディスクでもある。心おきない「推薦」を贈りたい。

 

那須田務●Tsutomu Nasuda
準 ショスタコーヴィチは生誕100年の2006年を経てますます人気が高まっている。ピアノ曲のディスクも《24の前奏曲》作品34がほぼ同時期に橋本京子と相沢吏江子の二人によってリリースされたばかり。それはさておき、この度リリースされたのは、三宅麻美による《24の前奏曲とフーガ》作品87。三宅は2006年に東京オペラシティで3回に分けて同曲集の全曲演奏を行ない、その翌年に録音されたものだ。作品87はバッハの影響が指摘されている大作で、コンサートでの全曲演奏自体大変なことだが、録音となるとタスキにもあるように、邦人では初めてかもしれない(外国のアーティストでは、デッカのアシュケナージ盤が最右翼だろう)。どの曲も入念な準備と熟考の後を示す、しっかりと手の裡に入った安定した解釈が聴かれる。個々の曲の性格づけも然り。同時に、各曲の関連性や全曲のなかでの意味づけにおいても自然だし、十分に納得がゆく。1番の前奏曲のしみじみとした趣、続くフーガはやわらかな音色と情趣に彩られ、4つの声部はレガートでよく歌う。2番はウェットなタッチの16分音符のこまやかな動きが情緒的で、フーガはシニカル。3番はロシア的な重々しさを備え、4曲目のゆったりとしたテンポで奏でられるフーガの内面的な昧わいがいい。第6番の前奏曲は付点リズムと跳躍する音程を持った曲だが、重苦しさと物憂げな表情に覆われている。8番の前奏曲のユダヤ的な性格が(これを三宅はショスタコーヴィチのソ連当局への抵抗の現れと見る)、物憂げな情感をもって描かれる。フーガには人肌の温もりがある。総じて、ショスタコーヴィチならではの音程や和音の面白さを的確に捉えつつ、幾分くすんだ湿度の高い音色と内面的な表現によって、これらの音楽の持つメランコリックで情緒的な色合いが前面に出たアジア的な感性の演奏といえる。それだけに、わが国の聴き手にとって親しみやすい。

 

CD『24の前奏曲とフーガ』の批評が公明新聞に

CD『24の前奏曲とフーガ』の批評が2008年3月16日の公明新聞に載りました

◆スターリン体制下の熾烈[しれつ]な芸術批判地獄を果敢に生きぬいたしたたかな作曲家、というイメージもあれば、交響曲第5番の闘争と勝利のテーマでもお馴染みのショスタコーヴィチだが、彼にはピアノ音楽作曲家としてのもうひとつの顔もあった。それに光を当てたのが、生誕100年にあたる2006年に日本の若手、三宅麻美の開いた意欲あふれるリサイタル・シリーズだった。彼女はショスタコーヴィチがバッハのひそみにならって書いた彼のピアノ音楽の集大成に挑み、おそらく日本人初の全曲公開演奏を達成したのだ。この『24の前奏曲とフーガ』(Regulus RGCD-1018 3枚組5250円)は翌年にセッションで録音された労作。音のみずみずしさと粒立ちのよさが、一見難解そうなこの作品への耳を、やさしく開いてくれる。録音も秀逸。
(音楽ジャーナリスト・萩谷由喜子)