『音楽の友』2008年7月号

●三宅麻美p
生誕100年にあたる2006年に3回にわたるショスタコーヴィチ・シリーズを開催した三宅麻美がその続編として「ショスタコーヴィチと同時代の作曲家」をテーマにシリーズ第4回を開催した。
ショスタコーヴィチのピアノ作品としては若書きの「3つの幻想的な舞曲」、作品番号を持たない「5つの前奏曲」の2曲のほか、ヴィオラの臼木麻弥との共演で「ヴィオラ・ソナタ」が演奏されたが、近年この作
曲家とひたむきに向き合ってきただけあって、今やすっかりショスタコーヴィチの語り口を、みすからの言葉で語れるまでに成長した三宅のピアノが印象的だった。音に重量感が増し、表現の幅も確実に広がってい
たのである。
周辺作囲家としてとりあげられていたカバレフスキー、ミヤスコフスキー、ブリテン作品のうちではミヤスコフスキーの「ピアノ・ソナタ第2番」に思いのほかの聴き応えがあり、三宅の佳演も手伝って楽しめた。
(4月28日・東京オペラシティ・リサイタルホール)〈萩谷由喜子〉