◆三宅麻美ショスタコーヴィチ・シリーズ Vol. 2
ショスタコーヴィチ生誕100年に関連した催しの中でも、彼の代表的なピアノ作品「24の前奏曲とフーガ」全曲演奏と室内楽曲を組み合わせた当演奏会シリーズは、注目すべきものの1つであろう。三宅麻美は、ラロックダンテロン国際ピアノフェスティヴァルでも「24の前奏曲とフーガ」を演奏している。当夜の前半はこの中から「11、6、7、8、9、10、14、15番」を演奏したが、各曲の性格が明確に表現されており、まさに音色のパレット。弾力感のあるタッチ、水が滴り落ちるような湿った音色、さらには教会の鐘のような広がりのある響きまで実に多彩、演奏家の耳のよさとともに作品背景も充分に感じられる演奏。ことに第6番、フーガ部分のしっとりとした流れは、秀逸。後半の「ミケランジェロの詩による組曲」より5曲(バリトン、河野真剛)は平坦な表現が惜しまれる。「チェロとピアノのためのソナタ・ニ長調」(チェロ、長南牧人)は、やや淡白なソロだが、歌心は感じられた。(8月5日、東京オペラシティ・リサイタルホール)(生田美子)