『音楽現代』2014年9月号

      

▼三宅麻美&アンドレイ・コロベイニコフ ピアノ・デュオ
東京、ベルリンの芸術大学に学び、国内外のオーケストラと共演、ソリストと室内楽奏者としても幅広い活動をしている三宅麻美。現在進行中のショスタコーヴィチ・シリーズの第6弾を来日中のロシアのピアニス卜、アンドレイ・コロベイニコフと共演、デュオ作品を披露した。注目はプログラム最初におかれた作曲者自身による「交響曲第9番」(4手連弾)の全曲版。変化に富んだこの曲で両者は息もピッタリ、高度な音楽性でショスタコーヴィチの世界に迫る。「2台ピアノのためのコンチェルティーノ」は充実期の作で、熱い演奏に音の波が心に迫る。休憩後の「2台ピアノのための組曲」は、作曲者16歳の頃に急逝した父親への追悼の意を込めて書かれた4曲からなる大作。彼の作品としては聴きやすいが、各所で才能の一旦を示している。アンコール2曲(タランテラ、陽気なマーチ)も聞き応え充分。楽しいバースデー・サプライズ演出もあり会場は熱い拍手に包まれた。

(7月10日、トッパンホール) (福田 滋)