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【アート覚書き】運慶 祈りの空間─興福寺北円堂

2026年3月12日 by admin

@東京国立博物館

先月末までの展示だった運慶展。
仕事を早く切り上げて閉館前に滑り込んだ。
上野公園は色付いたイチョウが美しい。

七体の仏像がいずれも国宝。
興福寺北円堂に安置されている弥勒如来坐像とその背後に並ぶ二体の菩薩立像は通常非公開ということで、是が非でも観ておきたかった。

今回はその三体の周りを取り囲むように四体の四天王像が配置されており、かつて鎌倉時代に安置されていた形を再現したものらしい。

増長天は胸甲の人面と鬼面、腹帯の獅子がかなり目立つように彫られ、手に持つ槍は下向きだが、その太い足腰で頑丈な守備を主張している。広目天は後ろから見ると背筋の隆々とした後ろ姿が印象的で、右手を腰に当てて突き出た臀部に動きを与えている。360度どこからでも眺められることも、本来安置されている興福寺ではあり得ないことで、観る方も飽きない。多聞天は比較的塗りの色味が残っており、左手で宝塔を高く掲げるさまが、衣の動きや顔の表情から、まさに今手を持ち上げたかのように感じられる。髪飾り、髪の結い方、履き物の模様の細かさも見応えがある。持国天は色味が先ほどの多聞天よりも白っぽく残っており、正面に睨みを効かせた力強い眼差しに目を奪われる。

弥勒如来坐像は、正面からだとかなり寄り目なのだが、右横からの顔立ちは厳かで凛とした美しさが際立っていた。通常は光背があるので後ろ姿は見られないが、今回の展示は光背が無く、無垢な後ろ姿が見られた。それどころか背後左右に配置された無著菩薩と世観菩薩を含めた三体の後ろ姿を同時に見られたのも貴重だった。

世観菩薩は無著より若く、顔や体の肉付きに張りがあり、弥勒如来そのものを後ろからしっかと見つめている。それに対して無著菩薩は骨格の目立つ面持ちをして、細い目の見開きからこの世の真相を悟ったかのような慈悲深い眼差しで、弥勒如来の内側を見つめている。

観終わって外に出たらすでに日も暮れて、月が出ていた。

カテゴリー: Information, 三宅麻美アート覚書き タグ: facebook
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