Joaquin Achucarro Piano Recital @ Tokyo Bunka Kaikan Recital Hall
一昨日の晩、86歳のアチュカロを聴きに東京文化会館へ。
先週はマスタークラスを聴講し、純粋に、ひたすら目の前の音楽に感動しながら、その喜びを共有する、お人柄溢れるレッスンをなさるのに大いに共感したところだったので、楽しみに出掛けた。
前半はショパン24の前奏曲集。一曲ずつ、そして一音ずつ愛おしみながら、慈しみながらの演奏。特に4番、11番、13番、15番などスローな曲での音のグラデーションが素晴らしく、まさにその場所に欲しい音を紡ぎ出す。かと思うと18番などの劇的で鮮烈な語り口もあり、弾き手の想いに満ちたショパンだった。
そしてアラウンド・グラナダと題された後半。アルベニス、ドビュッシー、ファリャの小品を繋ぎ、アンダルシア幻想曲で締めくくる充実のプログラム。スペイン・バスク地方出身のアチュカロの奏でるスペインものは、思ったよりもリズムが厳格で、重々しい。それでもやはりショパンとは違い、余分な肩の力が抜けた自然な打鍵から生み出される音は非常に立体感があり、光と陰、艶やかなリズムと色彩を添え、その音楽はまるで身体の一部であるかのような印象を与えてくれた。
アンコールはグリーグの抒情小曲集から夜想曲、ファリャの火祭りの踊り、ショパン夜想曲。
〔facebookパーソナルページより転載〕