トランス・シベリア芸術祭 in Japan
Trans-Siberian Art Festival
ヴァイオリニスト ワジム・レーピンが監督を務め、2年前から彼の故郷ノヴォシビルスクを中心に行っているフェスティバルの引越し公演、全部で3回の演奏会のうち2日足を運んだ。
まず初日のプリマ・バレリーナ スヴェトラーナ・ザハロワ&レーピン夫婦の共演@サントリーホール。
レーピン率いる弦楽アンサンブルと、ザハロワのソロ、あるいは男性パートナーとのダンス(弦楽アンサンブルが舞台の左隅で伴奏)、音楽とバレエ交互に焦点を当てる形になっている。
レーピンのヴァイオリンはその大柄な体格のごとく大地のような包容力があり、奇を衒わず、柔軟な身体を使って無理なく自然に、まるで息をするように奏でているのが良く、もう何度となく聴いている。だが今回は、ザハロワの圧倒的な存在感に支配されてしまった。その立ち姿は何と力に満ちていることか、彼女が踊っているときはレーピンのヴァイオリンは耳に入らないも同然だった。
手足が人より特別に長く、そして細すぎるくらい細い。その特性を頭と身体で操り、どう見られているかを熟知していて、それを活かしきる。ライトが当たった瞬間(あるいは当たる前からなのだろう)にそれぞれの配役がのり移るかのように成り切っているので、否が応でも引き込まれて、クライマックスの“瀕死の白鳥”では後姿だけで鳥肌が立った。バレエに対するイメージが変わった気がした。
ほか、ライティング演出あり、日本語のセリフを含めた小芝居もあり、休憩なしの80分はあっという間だった。
もう1日はレーピン&マイスキーの協奏曲の夕べ@東京オペラシティコンサートホール。
日本フィルのサポートでレーラ・アウエルバッハのヴァイオリン協奏曲の日本初演とチェロはロココ主題の変奏曲、そしてブラームスのドッペルコンチェルトという豪華なラインナップだった。
ちょうどこの日が日フィル創立60周年の誕生日だそうで、ドッペルコンチェルトの前に指揮の広上さんが、2人が今日の演奏を誕生日に捧げたいと言っていることを客席に伝えてくれた。
コンサートの前には、オペラシティ近くの損保ジャパン日本興亜美術館に寄り、フランスの樹の風景を集めた展示を鑑賞。
緻密でいてセンスのあるジョルジュ・サンドの水彩画やピサロのエッチングなど、梅雨の合間の息抜きができました♪
〔facebookパーソナルページより転載〕