先週、仕事帰りに渋谷・松濤美術館の「チャペック兄弟と子供の世界」展へ。
Children’s Themes in the Works of the Capek Brothers@Shoto Museum of Art, Shibuya
カレル・チャペックとヨゼフ・チャペックの兄弟は20世紀初頭のチェコのマルチアーティスト。兄ヨゼフが主に絵を、弟カレルが文章を担当し、兄弟揃って同じ新聞社の編集部に勤め、ヒトラーやナチズムを記事や風刺画で批判しながらも、子供向けの日曜版紙面を担当して挿絵付きエッセイを掲載したり、子供のための絵本を数多く手掛けたことで知られている。
ヨゼフの絵はキュビズムやプリミティブ・アートの影響を受けて、単純な線と構図で描かれていながら、非常に温かみがあって、特に油彩画よりもドローイングでその芸術的センスが良く感じられる。鉛筆の線の太さ、濃淡、筆圧が手に取るようにわかり、見応えがある。髪の毛などは5、6本の線しか描かれていないのだが、その向きや角度によって愛くるしいキャラクターを生み出していく。
おとぎ話の挿絵も多く描き、挿絵にも芸術的な価値を与え、子供のうちから芸術に触れる必要性を示した。
「子供の世界は私たちの世界そのもの。でもそれは私たちの世界よりも充実していて美しく、驚きにあふれている」というチャペック兄弟の優しい眼差しから創られた豊かな世界を体感し、美術館を出るときには自然と笑顔になっている自分に気づいた。
〔facebookパーソナルページより転載〕